ワシントン大学の美しいカレッジゴシック様式のキャンパスに続く大階段の上で右に曲がり、数十メートル歩くと、ルドルフホールの入り口があります。中に入ったら、地下にあるFossett Laboratory for Virtual Planetary Exploration(仮想惑星探査のためのフォセット研究室)に向かいます。あまり特徴のない灰色の部屋ですが、それはHoloLensの電源が入るまでの話です。
このシースルーの複合現実ヘッドセットは、ユーザーの目の前に映像を投影し、Fossett Lab(フォセット研究室)を興味深い地形、鉱物標本のコレクション、あるいは火星の表面にさえ変えてしまいます。この研究室では、ワシントン大学の学生がこの拡張現実環境を使って地形を研究し、地球の構造や鉱物を構成する結晶を身近に3次元ビューで見ることができます。この大学の教員であるRay Arvidson教授は、火星の表面を探索してローバー「キュリオシティ」の進路を決めるという、一風変わった理由でこのテクノロジーを使っています。1
科学の中でも最も物理的な分野の1つである地質学が、デジタルの世界に変貌しています。Arvidson教授の研究では、そのデジタルトランスフォーメーションをさらに一歩進めて、デジタルモデルを使って物理的な動作を試しています。惑星間移動手段を操縦する人はごく少数でしょうが、デジタル変換された世界で過ごすことになる人は多いはずです。